kentosatoko’s blog

2023年12月からHatenaで投稿しております。よろしくお願い致します。

その日は…

 その日というのは、2016年7月26日。その日に何があったかを思い出す人も少ないだろう。けれども遺族や事件の関係者はその日が近づいたら何ともやるせない居心地の悪い気持ちになるはずだ。その事件の日は一日雨が降っていた。相模原障害者施設殺傷事件で、被告である植松聖(当時26歳)は、雨の日入所者19人を所携の刃物で次々と襲い刺殺した。また施設にいた関係者26人に重軽傷の怪我を負わせ、その罪(殺人等6つの刑が問われた)により2020年3月16日横浜地裁は、死刑を植松被告に言い渡した。植松はその施設「神奈川県立津久井やまゆり園」で職員として働いていたことがあった。彼のように差別的感情を何時の段階で抱いたかは、私は知る由もないが、事件は起こってしまった。その事件の日が雨だったということは、特に私と息子はよく覚えている。というのは、その日まさに事件現場近くにいたのだから。なぜその日にちょうど相模原に行くことになったのか。元々車(ホンダのNボックススラッシュ)がカスタム車で、その地方に所在する小さな会社がいくつかのカスタム車を手掛けていて、私がその会社のオーナーに問い合わせを行い現地で購入することになったからだった。そして受け取ってから直ぐに初めて川崎大社という所で車のお祓いをしてもらい、その夜は横浜の日航ホテルに泊まり港やレンガ倉庫を見て回った。そして地元に帰ってからある日自分が持っていたDVDの映画「ラストエンペラー」が車で見えるかを試していた。するとCDは読み込めてもDVDにはそのナヴィゲーションシステムが対応していないことが判明した。「あれ、やっちゃったかな?」と社長は言い、修理交換するからどうしましょうと言うので、その夏に行きますよ、ちょうど尾瀬に旅行に行くことにしているから、途中で寄りますと答えた。

 

 

写真のワシントン・ポスト紙の記事は「犯人は安楽死させる手立てとして大量殺傷を思いついた」と報じている。

 その日は雨だった。相模原の街の国道沿いにレストラン「ガスト」が目についたからそこで昼食を取り、会社の社長斉藤さんと待ち合わせすることになったのだった。暫くして息子が言う。これ、デジャブだ、と。どういう意味かと問えば以前仲間とこのガストに車で立ち寄ったことがある、ということだった。妙なこともあるものだけれど、無事修理が終わって車を引き取って栃木の日光にナビを合わせ走らせた。日光のいろは坂を登り詰めた所に市営の駐車場があり、そこで今夜は車泊しようということになり、誰もいない街灯だけの暗い駐車場でFMラジオを聴きながらの夕食を取った。まだ雨は結構降っていたから食事を作るにも難儀だった。車内に落ち着き食べながら聞いていると、ニュースが冒頭の事件の概要を伝えていた。私たちは予定どおり翌日日光の東照宮に参詣したり、修善寺湖のほとりにあるイタリア、英国の別荘を見て廻った。もう雨は止んでいて湖も綺麗に空を映していた。そして群馬の尾瀬に行き往復42キロを福島の県境まで歩き、引き返すという結構ハードな歩行軍をしたものだった。今では熊も出没すると伝えられている。

 

 今日(12月17日)はTVニュースでも報道していたが、大阪の北新地(住所は曽根崎新地であるが人々はそう呼ぶ)のビルの一角にあった心療内科に放火され、犯人と院長を含め27人が亡くなっている。私は最近早朝桜橋交差点の角にあるスタバによく入る。珈琲を飲んでそこで自分の創作をiPadに打ち込んでから、東へ約150メートルのところにある堂島アヴァンザにある仕事場まで歩く。ちょうどその間に事件現場の堂島北ビルがあるのだ。最近よく考えるのは、なぜ事件は起きてしまったのか、もしも防げるとしたら何をしたらよかったのか?ということ。京アニの事件も同じ。あそこには当時施設警備の人はいなかったはずだ。もしその日一人でもそういう人がいたら?京アニのビルには当日NHKが取材するアポがあったので、ドアは開放されていた。そのことにより犯人は引火性の液体を入れたポリ容器をカートに乗せて押し、悠々というか容易にドアから侵入したのだった。社長は突然の事件に衝撃を受けた、或いは過去に何度か容疑者から会社に対する抗議を受けていると明かしてはいたが、警備上の何らかの手を売っていなかったのではないか。私はその点が腑に落ちないと今でも思っている。施設警備を厳重にしていたら防げたかもしれないからだ。京都府警のお巡りさんは当時そんな脅迫を受けていたのを知っていたのだろうか、そして立ち寄ったり巡回を強化していたのだろうか?報道の中でそんな内容の活動があったことは一度も聞いたことがない。逆に遺族は全く疑問に思わないのだろうか、そんなことを訝ることもある。もしも….。いくつかの事件でもそういった疑問や、何か一つでも手立てがあったら救える命もあったのではないか、という気がしてならない。

✴️ 文章構成上、「です」「ます」でなく「である」に統一しているのをお断り申し上げます。